腰痛とコルセット
こんにちは
南の谷の鍼灸院
鍼灸マッサージ師 南谷望です
私が学んでいる『積聚治療』は
小林詔司先生という鍼灸師の先生が考えた治療法です
今も現役で活躍されている先生で、私も治療を受けています
その小林先生の著書「やまい一口メモ」には
東洋的に身体をみることや、生活のヒントがたくさん詰まっていて
私がみなさんに健康の話をするときのネタ元だったりします
今日も読み返していると、ちょうど似た症状の方がいたなぁ
ということがあったので本の内容とともにご紹介しますね
【コルセットについて】
コルセットは、容姿を整えるために胴部を締める婦人用下着として使われていた
最近では、腰椎や骨盤のずれを補正したり、はずれないようにして痛みを和らげる整形外科用のものが多く用いられる
しかし、これにはいくつかの問題がある
①長くコルセットを使用すると関節部の靱帯や骨部周囲の筋力が低下すること
②コルセットに対する依頼心が強くなり、それなしには生きていけないという心理的な不安感を常に抱く
③腰臀部の皮膚の抵抗力も低下し湿疹などができやすくなる
④下腹部を固定した場合は内臓の活動も制約されるし、体全体の動作も制限される
コルセットは治療道具ではなく、一時的な介助道具であることを忘れず、少しでも使わない時間を増やすことを心がけなければいけない
腰回りの筋力の使用制限は全身の気力の低下にも繋がる
本の中では、このように説明されています
そして、私がみた方のお話がこちら↓
【症例(1) 70代女性 肩こり、難聴】
メインのお悩みは肩こりと難聴ですが、全身治療しながらお話を聞いていくと
「毎朝の犬の散歩は腰にコルセットを巻いて歩いてるんです」とのこと
この方は他にも
・足の指先が痺れるような感覚
・夜間頻尿
・便秘
・汗をかくと皮膚の痒みがあり、掻くとミミズ腫れのようになる
・膀胱炎になりやすい
そして、
「腰は痛い時も痛くない時もあるけど、痛くなったら困るから長く歩く時はコルセットをしている」
《④下腹部を固定していることで内臓の動きや体のうごきが制限され》尿や便の問題、足の痺れが出やすくなったり
《②コルセットなしでは不安》という状況になり
それが続くことで
《①腰回りの筋力低下》につながると、ますますコルセットが手放せなくなります
この方には
『コルセットは腰が痛くて動けない時だけ』にしてもらって
2週間おきに鍼灸治療を続けて体が軽くなってくるとコルセットに頼ることが減り、
娘さんからも「最近母が元気で嬉しい」と喜びの声をいただきました
はじめは
「歳だから仕方ないわよね」とおっしゃっていましたが
最近はそういう言葉も出なくなりました
体が変わると、心も前向きになりますね
【症例(2) 20代女性 首・肩・頭のコリ、左足指の動きが悪い】
「首や肩が凝るのは姿勢が悪いからかもしれない」と感じて
姿勢矯正用のコルセットをつけてみたところ
胃の苦しさを感じたのと脇腹にあせもができてしまった
1週間つかって、5日前にやめた
《③皮膚の抵抗力が低下して湿疹ができやすくなる》
《④内臓の活動が制約される》
この2つの状態になったわけですね
胃の苦しさは、その日の治療ですぐ楽になりましたが
あせもの痕は、その2週間後の治療の時もまだ残っていました
もともと首肩の詰まり・コリが出やすい方ですし
皮膚も、体の表面に近いところなので
体の上や表面=陽の部分に熱(陽)の反応が強く出たんですね
こういう時は、体の芯が冷えていて
熱を体の中に留めておけず、表面に出てきたとも考えられます
背中に温かいお灸をしたら
「体の中まで熱が入ってくるようで、いつもとなんか違う」
と感じてくれました
同じ治療でも、体の状態によって感じ方が違うものです
よっぽど冷えていたんでしょう
この方は、コルセットを使い始めて1週間で
「体に合わないな」と気づいて、自分でやめることができました
美容や健康器具は、人によっては効果絶大!!でもほかの人にとっては合わずに逆に害になることもあります
自分の体調や体質をしっかり見極めて、判断できることが大切ですね
【肩こりでお悩みの方でも、ほかの症状もまるっとお任せを】
南の谷の鍼灸院 南谷望